社団法人 日本感染症学会
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学会について

理事長ご挨拶

理事長就任にあたって

東京大学医科学研究所 先端医療研究センター・感染症分野 岩本 愛吉

理事長 岩本 愛吉 2009年4月の第83回日本感染症学会総会・学術講演会において新理事長に推挙された岩本と申します。なにとぞよろしくお願い致します。
 第10代米国Surgeon GeneralのWilliam H. Stewartが、“The time has come to close the book on infectious diseases”と年次報告したのが1967年でした。私が大学に入学したのは1968年で、医学部在学中や初期研修時代は「感染症は克服された」といった雰囲気でした。私自身が現在専門としているHIV感染症も、まだ影も形もありませんでした。今から10年以上前に新興・再興感染症という概念が提唱されましたが、21世紀に入り、感染症の出現や拡大のダイナミズムはより速度を増しているように思われます。
 理事長を拝命したとほぼ同時に、北米に端を発した新しいH1N1亜型のA型インフルエンザのニュースが飛び込んできました。人と動物のウイルスの間で遺伝子交雑が起こり、抗原不連続変異(抗原シフト)が起こるA型インフルエンザウイルスは、まさに究極の動物由来感染症です。H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザを次のインフルエンザパンデミックとして見据えたほとんどの人の予測を裏切って、豚のウイルス由来の遺伝子を持つウイルスが飛び出してきました。当学会では、砂川慶介前理事長のもとで既に形成されていた新型インフルエンザ対策ワーキンググループが作成した提言をまとめ、5月21日にホームページ(HP)を通じて発信致しました。また、関西地区からの貴重な初期経験を迅速にHPで紹介するようにしました。
 グローバリゼーションが急速に進み、人の移動や物流が大量・高速・広範囲化している現在、病原体固有の感染経路と感染性に応じて、感染症はあっという間に拡大します。感染症の専門家集団である当学会に対する期待も、ますます高くなると信じます。日本感染症学会の会員数は10,000人を越えましたが、専門医はまだまだ不足し、大病院の多い日本ではICDをますます充実させねばなりません。新たな感染症に直面して、定まった指針を単に適用するばかりでなく、新しいエビデンスを求めて真っ向から立ち向かう若い力を時代は要求しています。日本感染症学会における専門的な議論を通じて、可能な限り迅速かつ的確な発信を続けて参りたいと存じます。皆様のご支援と積極的な参加を、心からお願い申し上げます。

2009年5月 岩本 愛吉