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新規抗菌薬の開発に向けた8学会提言
「世界的協調の中で進められる耐性菌対策」
―提言発表の背景と目的―

公益社団法人 日本化学療法学会 理事長 門田 淳一
同 創薬促進検討委員会 委員長 舘田 一博
同 抗微生物薬適正使用推進委員会 委員長 二木 芳人
一般社団法人日本感染症学会 理事長 岩田 敏

 世界的に進行する耐性菌問題を人間の問題としてだけでなく、共存する動物や生物が生息・定住する環境を含めて地球規模の視点で考える“One Health”の概念が提唱されています。そして今日、“One Health”の方向性のもとに、耐性菌問題に関しても世界の国々が大陸・国境・地域を越えて協力していくことの重要性が様々な提言の中で指摘されています。CDCやWHOの提言はその1例であり、さらに2015年の米国のNational Action Planにおいても耐性菌問題における国際協力体制の確立と強化の重要性が強調されています。この点に関して本邦も、2013年および2015年のG8サミット(英国 北アイルランド、ドイツ シュロス エルマウ)におけるGサイエンス学術会議との共同声明において病原微生物の薬剤耐性菌問題を人類への脅威として提案し、これに対する対策が急務である旨が採択されました。また2014年には、日本化学療法学会が中心となり「新規抗菌薬の開発に向けた6学会提言」(“耐性菌の現状と抗菌薬開発の必要性を知っていただくために”)を発表しています。耐性菌問題は世界中の人々が対象となる地球規模の問題であり、その対応には国際社会の理解と協力が不可欠です。幸い、現時点において日本における耐性菌問題は欧米や他のアジア諸国と比較してそれほど深刻なものではないのかもしれません。しかし、世界規模で問題となっている耐性菌がいつ日本に持ち込まれるのか、将来蔓延するのか、私たちは細心の注意を払いながらこの問題と向き合っていかなければいけません。さらには、これまで日本で培われてきた感染制御・感染対策のノウハウ、感染症治療薬の開発における先進的な創薬技術を含め、知識、経験、リソースをどのように国際貢献に生かしていくのか、真剣に考えていく必要があります。このような背景のもとに、本提言では我々の目指すべき方向性に関して、以下の4項目を挙げさせていただきました。

  1. 戦略的な耐性菌サーベイランスの実施
    耐性菌の頻度に加え、そのインパクトを解析する研究が求められています
  2. 院内感染対策・制御のさらなる徹底
    地域連携ネットワークの中で院内感染対策・制御のさらなる強化を目指します
  3. 行政との連携による抗菌薬適正使用支援の推進
    Antimicrobial Stewardshipの行政的導入と活用により効果的な抗菌薬療法が推進されます
  4. 創薬を促進するための施策・連携・協力
    日本版GAIN法制定など行政・企業・アカデミアが連携した施策が必要です

 耐性菌の問題は本提言だけでは解決できないことは明らかです。我々、感染症関連学会は世界的協調の中で進められる耐性菌問題に関して、上記4項目の実施に向けて協力していくとともに、本提言に続くメッセージを発信し続けていきたいと思います。耐性菌問題に対しては、世界の協調・協力が必須となります。今、米国やヨーロッパ諸国、そしてWHOやCDCなどの国際機関が協調の動きを活発化させています。このような状況の中で、私達もより積極的に、そして責任をもった行動・活動を起こさなければいけない時代となっています。アジア地域への貢献はもちろんのこと、世界の耐性菌問題、地球規模で進める感染対策の視点で考えていくことが重要です。私たちが培ってきた産官学の連携による耐性菌・院内感染対策、そして多くの世界標準治療薬を生み出してきた創薬の歴史・知識・経験・リソースをどのように生かしていくのか、その責任はさらに大きくなっていると考えておかなければいけません。

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