日本感染症学会

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第94回日本感染症学会総会・学術講演会

理事長ご挨拶

最終更新日:2019年4月26日

日本感染症学会 会員の皆様へ
―2019~2020年度 新執行部としてのご挨拶―

理事長 舘田 一博  2019年4月の新理事会において2期目の理事長を拝命いたしました東邦大学の舘田一博です。新しいスタートを迎えるにあたり、これまでの2年間を振り返り、これからの2年間をどのような戦略で何を目指そうとしているのか、会員の皆様と共有させていただければと思います。日本感染症学会は2026年に創立100周年を迎えます。1世紀に向けてのカウントダウンが進む中、日本感染症学会のさらなる発展のために活動していきたいと思います。

 

1.感染症専門医の育成と教育:診療体制の充実とさらなるレベル・アップ

 本学会の会員数は10,985人(2019年2月末日現在)、そのうち8,901人(80%)が医師という状況が続いています。感染症専門医取得者の数は1,500人(2019年2月末日現在)と2年間で139名の増加がみられましたが、総会員数に対する割合は依然として約14%という状況です。本邦における感染症診療のレベル・アップを目指すためには、数を増やすとともにその実力をさらに高めることが重要です。これまで総会・地方会で多数の教育プログラムを行うとともに、毎年8月第1週に1泊2日で“感染症サマースクール”を実施してきました。さらに2018年からは全国6地域で“感染症ベーシックスクール”が動きだしています。また遭遇する頻度の低い感染症症例をHPで共有する「感染症・アトラス」も開設されました。今後2年間でこれら教育企画のさらなる充実を図りながら、次世代・次々世代の人材育成につなげていきたいと思います。また、感染症専門医のステータスとインセンティブを高めるための方策に関して引き続き議論していきたいと考えています。

2.感染症研究の強化: リサーチマインドを持った医師の育成

 感染症分野において、新興・再興感染症、多剤耐性菌、劇症化・難治化メカニズム、迅速診断法、創薬促進など多くの解決されなければいけない問題が残されています。今日、いくつものガイドラインが作成されて医療の標準化が急速に進んでいます。しかし一方で、専門医までもがガイドライン診療で思考が停止してしまうという弊害が生じていることも事実のようです。感染症専門医には、その分野の専門家としてガイドラインを検証・改訂するエビデンスを創出するリサーチマインドが求められているのではないでしょうか。症例の中の疑問を見逃さずに、これに真摯に向き合うことがリサーチマインドの始まりです。本学会では、「症例から学ぶ感染症セミナー」を通して“症例の中の疑問点を研究的視点で考える”という企画を継続してきました。また「臨床研究促進委員会」を立ち上げ、学会として臨床研究をサポートする仕組みが動き出しました。まだスタートしたばかりですが、学会員からの臨床(疫学)研究に関するアイデアを募集し、学会のネットワークを駆使した研究として動き出しました。これら研究企画を通して、リサーチマインドをもった感染症医が育成されること、そして世界に情報を発信できる感染症専門医が増加することを期待しています。

3.学際化・国際化の推進 : 戦略的な教育・啓発活動の展開

 感染症は、全ての診療科で遭遇する数少ない疾患領域といっていいかと思います。この点で本学会は、大学病院や基幹病院だけでなく、診療所から開業医・プライマリケア医まで全ての医師が必要とする情報・知識を提供する責任があると考えています。ますます多様化する感染症診療の中で、学会として学際的・国際的な視点でより広い展開を目指す目的で「学際化・国際化推進委員会」がスタートしました。この2年間で、医師会やプライマリケア連合学会など関連団体との連携・活性化が図られました。また国際化に向けて米国感染症学会(IDSA)および欧州臨床微生物・感染症学会(ESCMID)とMOUを締結し、人的交流および合同シンポジウムなどの機会を作ることができるようになりました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、開業医の先生方にご利用いただけるような「感染症クイック・リファレンス2020(案)」を作成中です。輸入感染症、持ち込み耐性菌・感染症に対するリスクについては、学会として特別の注意を払いながら備えていきたいと思います。

4.適材適所の人材活用 : 男女共同参画の推進

 本学会における女性会員は 2,239人(2019年2月末日現在)であり、全会員数に占める割合は約20%になります。これは日本の多くの職種における特徴ですが、特に医師という職業においては女性がキャリア・アップするのが難しい状況が存在しているように思われます。このような状況の中で「男女共同参画推進委員会」が動き出しました。本委員会の活動を通して、熱意のある会員、経験と実力を有する医師を積極的に登用する仕組み創りを進めていきたいと思います。適材適所の人材活用が学会の活性化にとって必須となります。男女共同参画は決して数だけの問題ではありません。男性会員も女性会員も、その熱意・能力・実績に応じて活躍していただける仕組み創り・環境創りの問題として取り組んで行きたいと思います。

おわりに

 病原体の進化が止まらないように、本学会も進化を続けなければなりません。時代が求める感染症診療と研究に応えるべく、学会活動の中で、教育啓発活動を通して、感染症問題にコミットしていくことが私たちの責任です。そして何よりも、若い世代が生き生きと活躍できる学会を目指して、学会員の皆様とともに活動を続けていきたいと思います。日本感染症学会のさらなる発展のためにご理解とご協力をどうぞ宜しくお願いいたします。

2019年4月

一般社団法人日本感染症学会 理事長: 舘田 一博(東邦大学)
理事: 一山  智(京都大学)
大毛 宏喜(広島大学)
岡  慎一(国立国際医療研究センター)
川上 和義(東北大学)
川名 明彦(防衛医科大学校)
菅井 基行(国立感染症研究所)
髙橋  聡(札幌医科大学)
西 順一郎(鹿児島大学)
前﨑 繁文(埼玉医科大学)
三鴨 廣繁(愛知医科大学)
宮崎 義継(国立感染症研究所)
迎   寛(長崎大学)
八木 哲也(名古屋大学)
四柳  宏(東京大学)
監事: 飯沼 由嗣(金沢医科大学)
岩田  敏(国立がん研究センター)
藤田 次郎(琉球大学)
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