日本感染症学会

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理事長ご挨拶

最終更新日:2023年5月15日

理事長 舘田 一博 皆様、こんにちは。2023年5月より第十八代理事長に就任しました長谷川 直樹(はせがわ なおき)です。会員の皆様、医療者の皆様には日頃より、日本感染症学会の活動にご支援をいただき、篤く御礼申し上げます。
 本学会は1926年(大正15年)に東京市立駒込病院長であられた二木(ふたき)謙三先生のご尽力により、日本伝染病学会として設立されました。その後、1974年に社団法人日本感染症学会と名称を変え、2013年3月からは一般社団法人日本感染症学会として現在に至っております。本学会は設立以来一貫して、感染症に関する学術・研究・啓蒙活動を推進してまいりました。歴史と伝統のある本学会の理事長を拝命し、その使命と責任の重さを痛感しております。
 会員の皆様におかれましては2020年の年頭から新型コロナウイルス感染症の診療・研究・対策の渦中にあり、大変なご苦労をされてこられたことと思います。日本感染症学会は第十六代理事長の舘田一博先生、第十七代理事長の四柳宏先生のご尽力により、日本環境感染学会や日本化学療法学会、日本臨床微生物学会など関連する他の学会、行政とも協働して様々な活動を行って参りました。2020年1月28日に「新型コロナウイルス感染症への対応について」を発表し、2020年2月には緊急セミナーの開催、また会員の皆様からは貴重な症例をご提示いただきました。本学会からは薬物治療の考え方や、ワクチン接種に関する考え方などが発出され、学会主導の調査や臨床研究が実施されました。策定にご協力いただきました関係各位、研究にご参加、ご協力いただいた多くの皆様に改めて深く感謝と御礼を申しあげます。
 さて、私の理事長拝命はちょうど新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類への移行と時を同じくし、今後新たな展開を迎えました。今回の新型コロナウイルス感染症は2009年の新型インフルエンザ感染症が去ったあと、忘れかけていた感染症の社会における重要性と、がんや生活習慣病とは異なる恐ろしさ、難しさを改めて知らしめてくれました。従来では考えられない迅速さで、病態解明が進められ、ワクチンや新薬の開発などの素晴らしい進歩もありましたが、未だに不明の点や未解決の疑問・課題も多々あります。一方、感染症上の定義が変わっても、ウイルスの性状や人々の免疫状態は刻々と変化し、同じ場面、状況は二度となく、新型コロナウイルス感染症の再燃や新たな感染症の発生と流行など、日々未知との遭遇になります。また、地球温暖化・気候変動や、人々だけでなく動物の移動のグローバル化・ボーダレス化に伴う地球規模ですすむ感染症の疫学の変化、人口減少社会に向かう中で増加するインバウンド、などを鑑みますと、今後我が国が新興・再興感染症の波に遭遇する機会はますます増えると考えられます。現在、感染症を念頭にした危機管理体制や診療、研究体制の充実を目指し様々な国家的施策が進められています。しかし体制を整備しても、それを運用する感染症専門医や感染症関連の資格を有する人材の不足は明らかです。現在感染症専門医についても日本専門医機構との調整が進められ、令和5年度から機構の定める感染症専門医を取得するための専攻医教育の制度が発足しましたが、感染症に関する卒前教育の強化も重要です。会員の先生と協力しながら学会としても人材育成に一層貢献してまいりたいと思います。過去を変えることはできませんが未来を変えることはできます。日本感染症学会のさらなる発展のために皆様のご理解・ご協力・ご支援を宜しくお願いいたします。

2023年5月
一般社団法人日本感染症学会
理事長  長谷川 直樹

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