日本感染症学会

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COVID-19検査法および結果の考え方

最終更新日:2020年10月21日

「COVID-19検査法および結果の考え方」の発表に際して

 COVID-19検査法に関する新しい情報をアップデートする目的で「COVID-19検査法および結果の考え方」を発表させていただきました。COVID-19の検査に関しては、新規検査法の導入、使用できる検体の追加、さらには検査結果の解釈についても、新しい情報が次々に発表されているところです。また、PCRなどの遺伝子検査においては、いったん陽性となってしまうと数週間にわたって陽性が持続する症例も多く、いつまで患者を隔離しておく必要があるのかなど、難しい問題もクローズアップされています。このような背景の中、退院の基準に関してはTest-based strategyとSymptom-based strategyを組み合わせた対応が提案されています。特に、遺伝子検査で陽性を示す患者の感染性をどのように評価していくのかがこれからの検査の重要な課題となっています。その評価において、Ct値(Cycle Threshold)が重要な項目の1つとして注目されています。Ct値は特異遺伝子が陽性となるまでのサイクル数になります。Ct値が低い陽性検体は遺伝子数が多い(感染性が高い)、逆にCt値が高い結果は遺伝子数が少ない(感染性が低い)ことを意味します。また、特異抗体価の出現と一致してウイルスの分離が減少することも報告されています。将来的には、遺伝子検査陽性が持続する患者に対してCt値や特異抗体の検出などを併用することにより、より正確に感染性を評価することができるようになるのかもしれません。
 COVID-19患者を診られている医療関係者のご理解とご協力により、本症に対する効果的な診療・検査体制が確立することを祈念しております。

2020年10月12日

一般社団法人 日本感染症学会
理事長 舘田 一博

COVID-19検査法および結果の考え方(2020年10月12日)

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