日本感染症学会

ガイドライン・提言Guidelines

気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言

最終更新日:2023年8月2日

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気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言の改訂にあたって

 薬剤耐性(AMR)は公衆衛生上重要な問題の一つです。わが国では、2016年4月にAMR対策アクションプラン2016-2020が作成され、啓発活動および対策を進めてきました。その成果として、薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2021では、抗菌薬使用は2013年と比較して2020年は29.9%減少しました。一方で、経口抗菌薬に占める割合は高く、依然として不必要な抗菌薬使用があるものと予測されます。厚生労働省から公表されている「抗微生物薬適正使用の手引き」に記載されているように、気道感染症の多くは「感冒」を中心とするウイルス感染症であり、抗菌薬は無効です。また、「基礎疾患のない、成人および学童期以上の小児」では細菌感染症でもペニシリンで十分な効果を示すことが多いとされています。しかしながら、基礎疾患などがあり感染症の速やかな改善や重篤化への対応が必要とされる場合や、ペニシリンでは効果が不十分な症例なども経験されます。そのため、ペニシリン以外の抗菌薬投与を考慮する病態について示すことも抗菌薬適正使用の推進に必要であると考え、2019年に本委員会から「気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言」を発表しました。本提言は、気道感染症の診療に関わる実地医家を中心に抗菌薬の適正使用に貢献してきました。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延は、気道感染症の診療に大きな影響を与え、細菌感染症との鑑別に苦慮する症例も散見されます。また、オンライン診療など身体診察を伴わない診療の普及もあり、これまでと同様に抗菌薬の適正使用を普及・推進することが必要と考えました。
 この度、COVID-19に関連した項目の追加ならびに新規検査法や治療薬など最新のエビデンスを取り入れることを目的として、提言を改訂いたしました。本提言(改訂版)が感染症診療に携わる先生方の参考となることを祈念しております。

2022年12月22日

一般社団法人日本感染症学会
理事長 四柳  宏
気道感染症抗菌薬適正使用委員会
委員長 保富 宗城
栁原 克紀

賛同学会
公益社団法人日本化学療法学会
一般社団法人日本臨床内科医会
一般社団法人日本小児感染症学会
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
一般社団法人日本呼吸器学会

気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(改訂版)(第96巻Sup.S1-22)(2022年11月30日)

気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(改訂版)(ダイジェスト版)(2023年8月1日)

気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(ダイジェスト版)(2019年12月12日)

正誤表(ダイジェスト版)

気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(感染症学雑誌第93巻5号 p623-42)(2019年8月28日)

正誤表

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