日本感染症学会

ガイドライン・提言Guidelines

多項目遺伝子関連検査の実施指針について

最終更新日:2025年9月11日NEW

 原因微生物の推定や同定は、感染症診療を適正に進めるための重要な要素です。したがって、複数の微生物を迅速かつ正確に検出できる多項目遺伝子検査には、非常に大きな期待が寄せられています。2020年に世界的な大流行を引き起こした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)においても、この検査は診断や治療の一助として大きな役割を果たし、それを契機に多様な検査機器や試薬が臨床の現場に導入されました。

 本指針は、多項目遺伝子検査が臨床上有用な情報を提供し得る一方で、検査の運用や結果の判断には難しさを伴う場合があることを考慮し、現場での適切な活用を支援する目的で作成したものです。

 前回の改訂では、COVID-19の流行を背景に、急性呼吸器感染症に対する検査を新型コロナウイルスを含む場合と含まない場合とに分けて記載していました。しかしながら、今後は呼吸器感染症全般を包括的に扱うことが臨床の実態に即していると判断し、改めて改訂を行うことといたしました。

 また、COVID-19を契機として多項目遺伝子検査の普及が急速に進んだ現在、その適切な利用がますます求められています。そこで、感染症診療や感染対策に従事する医師や臨床検査技師をはじめ、広く医療従事者の皆様を対象に、本指針を再整理いたしました。

 本指針が、多項目遺伝子検査を導入する際や施設内での運用を検討される際の有益な参考となることを願っております。

2025年9月11日

一般社団法人日本感染症学会 理事長 松本 哲哉
感染症遺伝子検査委員会 委員長 栁原 克紀

 

 

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