日本感染症学会

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リネゾリド製剤の適正使用に関するお願い

最終更新日:2019年6月14日

会員各位

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症治療薬であるリネゾリド(LZD)については、VRE感染症のみに適応を持つ後発品の製造が承認され2015年6月に薬価収載とともに注射剤型が発売となりました。さらに2015年12月には錠剤の後発品も発売となり、院内処方だけではなく、外来処方や院外処方に対してもLZDの適正使用を推進することが重要な課題であると考えられました。
 言うまでもなく抗菌薬の適正使用は耐性化防止のためにも重要な要素ですが、後発品の臨床使用開始は時に当該薬剤の頻用の一因となり、結果として耐性化を助長することがあります。特に適応外使用はその危険性を増すものでありますが、日本感染症学会、日本化学療法学会及び日本臨床微生物学会では、厚生労働省からの依頼を受けて、このLZDの後発品の適正使用の啓発・推進活動を学会として取り組むこととしました。そこで、LZD発売会社の協力も得てリネゾリド適正使用推進委員会を組織し、MRSAおよびVREの感受性サーベイランス、LZDの使用量調査などを事業として開始するとともに、適正使用推進の啓発を行ってきました。現在わが国ではLZD耐性のMRSAは極めて稀でありますが、海外では報告が散見されております。また、LZD後発品はVREのみの適応取得であったため、後発品の頻用あるいは乱用の懸念は少ないものと思われましたが、後発品発売会社も増え、2019年6月からはMRSAも後発品の適応菌種となりました。こういった状況の変化を踏まえ、改めてより一層、耐性化に対する注意が必要と考えられます。会員各位におかれましては、今後も継続して適正使用に対するご理解とご協力をいただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

2019年6月14日

一般社団法人日本感染症学会
理事長 舘田 一博
リネゾリド適正使用推進委員会
委員長 二木 芳人

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