最終更新日:2019年7月23日
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ヒストプラスマ症(Histoplasmosis)
病原体
Histoplasma capsulatumをはじめとするヒストプラスマ属。
感染経路
経気道感染。
流行地域
米国中央部のミシシッピー渓谷からオハイオ渓谷を中心に毎年50万人余りが感染する米国最大の真菌性風土病である。ほか、中南米、東南アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカなど広く発生がみられ、集団感染もおこる。
発生頻度
国内診断例は2018年末までに約100例と少ない。米国では毎年50万人余りが感染する一般的な感染症。
潜伏期間・主要症状・検査所見
1-4週間の潜伏期間後に感冒様症状で発症。
予後
免疫正常で曝露量が少ない場合は1か月以内に自然軽快するが、大量曝露やCOPD等合併の場合は急性呼吸不全となる場合がある。HIV感染者でも重篤化しやすい。
感染対策
ヒト-ヒト感染はしないので、患者の診療は標準予防策で対応してよい。しかし、患者由来の真菌はBSL3対応が必要なので検査前に専門施設に相談することが望ましい。
法制度
感染症法に規定されている真菌感染症ではない。
診断
最も大切な病歴は渡航歴。流行地からの外国人、あるいは、流行地からの帰国者であること。血清抗体、抗原検査や生検組織の病理組織学的検査。BALF液の培養、遺伝子検査。
診断した(疑った)場合の対応
渡航歴あるいは集団感染が疑われる病歴があれば、専門機関へのコンサルトと検査依頼。
治療(応急対応)
イトラコナゾール、アムホテリシンB。
専門施設に送るべき判断
診断のつかない発熱持続と胸部異常陰影。
専門施設、相談先
千葉大学真菌医学研究センター、国立感染症研究所真菌部。
役立つサイト、資料
- 亀井克彦. 輸入真菌症と問題点. Med Mycol J 2012;53:103-8.
- CDC. Fungal Diseases, Histoplasmosis.
https://www.cdc.gov/fungal/diseases/histoplasmosis/definition.html - 輸入真菌症の診断・治療指針. 亀井克彦 他編、協和企画.東京. 2011.
(利益相反自己申告:申告すべきものなし)
国立感染症研究所 真菌部 宮﨑義継
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