日本感染症学会症状からアプローチするインバウンド感染症への対応~東京2020大会にむけて~|感染症クイック・リファレンス

最終更新日:2021年7月21日

新型コロナウイルス感染症のインバウンドに対する水際対策および検査体制の現状

全世界で新型コロナウイルス感染者が存在する限り、インバウンドによるウイルスの持ち込みは常時考えなければならない。ワクチン接種が進行途上である以上、水際対策としてある程度効果が期待できる手法は入国前後の検査による感染状況の把握となる。2021年7月現在、厚生労働省は国籍を問わず出発国において出国前72時間以内に発行された検査証明書の提出を義務付けており、その提示ができない場合は検疫法に基づき日本への上陸が認められないことになっている1)。検査が陰性であった場合には公共交通機関の不使用、自宅等での14日間の待機、位置情報の保存・提示、接触確認アプリの導入等について明記された誓約書を検疫所に提出しなければならない。この誓約事項を遵守するために位置情報を提示するためのアプリ等を利用できるスマートフォンの所持が求められ、健康監視のための連絡先等が確認される。変異株へのさらなる水際対策として、検査が陰性であったとしても過去14日以内に厚生労働省が指定した国や地域に滞在歴のある入国者に対しては、検疫所が確保する宿泊施設で待機させ、入国後の決められた時期に再度検査を受けたうえで入国後 14 日間の残りの期間を自宅等で待機するような方策を取っている2)。入国前後の検査体制は世界各地域の流行状況やワクチン接種進捗状況によって今後随時変化する可能性があるので都度ホームページ等で確認していただきたい。

  1. 検査証明書の提示について(厚生労働省)
      https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00248.html
  2. 検疫所が確保する宿泊施設での待機・契約書の提出について
      https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00249.html

(利益相反自己申告:申告すべきものなし)

グローバルヘルスケアクリニック 水野 泰孝

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