日本感染症学会症状からアプローチするインバウンド感染症への対応~東京2020大会にむけて~|感染症クイック・リファレンス

最終更新日:2019年7月23日

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侵襲性髄膜炎菌感染症(Invasive meningococcal disease)

病原体

髄膜炎菌(Neisseria meningitides)。

感染経路

飛沫感染である。家庭内や集団生活での濃厚接触はハイリスクとなる。有効治療開始後24時間経過するまでは感染源となる。宿主はヒトのみで、患者や鼻咽頭保菌者が感染源になる。

流行地域

日本では稀である。世界的にはサハラ以南のアフリカ中央部(セネガル~エチオピア周辺、髄膜炎ベルト)で多く、アメリカやイギリスなどの先進国でも局地的小流行がみられる。

発生頻度

国内での報告は、年間20-40例程度と少ないが、2011年宮崎県内の学生寮での集団感染や2015年山口県で開催された世界スカウトジャンボリーでの集団感染、2017年神奈川県内の全寮制学校での集団感染事例がある。世界では毎年約30万人の患者が発生し、約3万人の死亡例がある。無脾症や補体欠損患者はハイリスクである。

主要症状・検査所見

潜伏期間は2-10日(平均4日)である。菌血症、髄膜炎、髄膜脳炎を呈する。急性劇症型では副腎出血やDICを呈するWaterhouse-Friderichsen症候群がある。それ以外に肺炎や尿道炎などを起こす。主要症状は、突然の発熱、頭痛、意識障害、けいれん(髄膜炎症状)、紫斑(DICによる)がある。

予後

致死率は約10%(無治療の髄膜炎は50%)で10-20%に後遺症を残す。

感染対策

飛沫予防策+接触予防策を行う。発症者の家族、集団生活を共にする濃厚接触者、適切な感染対策を行わずに挿管、吸引等を行った医療従事者は、曝露後速やかに予防内服(リファンピシンやシプロフロキサシン)を行う(健康保険適応外)。

法制度

感染症法上の5類全数疾患で、確定患者、死亡者を診断した医師は直ちに届け出る。

診断

血液や髄液の培養検査、PCR検査、ラテックス凝集試験にて同定や診断する。

治療(応急対応)

初期治療としては静注でセフォタキシムやセフトリアキソンを使用し、感受性があれば静注ペニシリンなども使用可能である。治療期間は7日間である。

予防

国内では4価(血清型A, C, Y, W-135)結合型ワクチン(MCV4:Menactra®)が任意接種で接種可能である。①髄膜炎菌流行地域に渡航する2歳以上の者、②9か月齢以上のハイリスク患者(補体欠損症、無脾症、脾機能不全、HIV感染症)、③9か月齢以上のエクリズマブ治療患者(発作性夜間ヘモグロビン尿症、非典型溶血性尿毒症症候群、全身型重症筋無力症:保険適応あり)は接種が推奨されている。MCV4は血清型Bに対しては効果がなく、近年、B型に対するワクチン(MenB:Bexero®, Trumenba®)も海外では販売されている(日本では未承認)。髄膜炎菌ワクチン接種可能施設は、日本渡航医学会HPを参照

専門施設に送るべき判断

治療に難渋した際には、搬送する。

専門施設、相談先

感染症指定医療機関など。

役立つサイト、資料

  1. Prevention and Control of Meningococcal Disease: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP). MMWR Recomm Rep. 2013;62:1-2
  2. 国立感染症研究所. 髄膜炎菌性髄膜炎とは.IDWR 2005;20.
  3. 横浜市衛生研究所. 横浜市感染症情報センター 髄膜炎菌性髄膜炎について

(利益相反自己申告:申告すべきものなし)

千葉大学大学院医学研究院小児病態学 竹下健一

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